ハナアブ入門
ハナアブとは、双翅目(ハエ目)ハナアブ科の昆虫をまとめた呼び名です。 アブと名前が付きますが、人を刺すアブとはグループが異なります。 ハエの仲間と解り易いようにアブバエと言う名称に替えようと言う人もおりましたが、定着しませんでした。 詳しくは下の説明を読んで下さい。
古くはショクガバエ(食蚜蠅)科と呼ばれていました。 ショクガバエ(食蚜蠅)科と言う古い名前は、アブラムシを食べるハエとの意味です。 一部の幼虫がアブラムシを主食とするためついた名前です。
英語では Hoverfly とか Flower fly と呼ばれています。 人を刺すアブは Horse fly と区別して呼ばれています。
ほとんどの仲間は花に集まって蜜をなめ、腹部には黄色と黒の縞があります。 また、同じく花に集まる白黒模様のハチとは、 羽が2枚しかないことで区別できます。
1. 市街地でよく見られるハナアブ
ナミハナアブ シマハナアブ アシブトハナアブ ミナミヒメヒラタアブ
クロヒラタアブ ホソヒラタアブ キアシマメヒラタアブ ホソヒメヒラタアブ
オオハナアブ ナミホシヒラタアブ フタホシヒラタアブ
2. ハナアブとその他の昆虫の違い
1) アブとハナアブ、ハエの違い
アブの触角 ハナアブの触角 ハエの触角
アブの口 ハナアブの口 ハエの口 上の絵を見れば、触角や口の形からハナアブはアブよりもハエの仲間ということが、わかって頂けると思います。
2) ハナアブ(双翅目又はハエ目)とハチ(膜翅目又はハチ目)の違い
飛んでいる時はわかり難いかもしれませんが、ハナアブの羽は2枚しか有りません。(正確には、後の羽が進化して平均根という棒状の突起になっています。)
ハナアブ(羽と平均根) ハチ(前羽と後羽)
3. ハナアブの食べ物
1) 成虫の食べ物
・花の蜜や花粉
・樹液
2) 幼虫の食べ物
・草食
草の葉肉や茎、根
スイセンなどの球根
キノコ
・肉食(捕食性)
アブラムシ、カイガラムシ
ガやハムシ(甲虫)の幼虫
・腐蝕
樹木の枯れた幹やウロの内部、樹皮下
腐った草や木の根など
動物の糞
ハチやアリの食べ残し・死体など(巣の内部に共生)
市販の生態写真を使用した図鑑を見ていると、この2つの種類について間違えている図鑑を良く見かけます。生態写真を使用した図鑑で同定する場合は十分注意してください。このHPの写真集をクリックして拡大して見て頂ければ、はっきりと区別出来ると思います。
皆様からの質問の多かったハナアブ幼虫の写真です。山の中の天水受けから拾ってきました。
種類は不明です。(飼育に挑戦中)→ アシブトハナアブの幼虫でした。幼虫は、呼吸管(シュノーケル)を水面に出して水中生活をしてます。
蛹は水中から出て蛹化(蛹に変態するとこ)します。蛹の頭部に有る角状の管は呼吸に使われるようです。